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柳家喬太郎独演会(10/22 神奈川県民ホール)

座席が13列の13番。この席に座ってるとクリスチャンじゃないことがバレバレ。いや、バレてもいいんだけどさ。

柳家こきち「牛ほめ」

柳家喬太郎「うどん屋」 いきなり「何で来るんですか!柳家小三治独演会じゃないんです」。関内駅で後輩と待ち合わせてタクシーで楽屋口に乗り付けたら、「ごめん、こっちは大ホールだった」などと自虐ネタで場内を喬太郎ペースに巻き込む。横浜と言えば喬太郎師の出身地。「浮いているのに乗れない氷川丸、立っているのに入れないマリンタワー…」などと早速地元ネタ。「相鉄線。いいですね。何ていったって海老名ですからね(笑)。いや、海老名と言っても人名ではないのですが」「必ず出てくる弁当が崎陽軒。(現住所の)池袋でも買えるんですが」などと横浜ネタを連発。
 学校寄席で北海道に行ったら名寄→静内→弟子屈と大移動した。「知ってます?弟子屈」済みません、私知ってます(笑)。青森では三沢空港からタクシー2時間半で大湊。そして五所川原まで4時間かけてタクシー移動。「一龍斎貞水先生と二人っきりで(笑)。人間国宝に何かあったら私のせいになる」。その五所川原では食事代を1500円貰って、ホテルの前のバス車体を利用したラーメン屋に行ったが、足らないので更に「一強」というコンビニ(?)でおにぎりを買った。と、ここで羽織を脱いで、コンビニおにぎりとパリパリ海苔を実演してみせる。こんな羽織の脱ぎ方は見たこと無いなあ(笑)。翌日、青森空港で飛行機に乗ったら偶然三遊亭円窓師匠の隣席になってしまった。
 一応記録も兼ねてネタを並べてみたのだけど、話術で笑わせているのでちょっと雰囲気は伝わりにくいかなあ。「バスラーメン」の寂れた様子を細かく描写しておいて、「翌朝見たら、そのバスが走り去っていた」なんていうのは、書くとどうということはないけど、現場では爆笑ものなのだ。ちなみに調べたら「バスラーメン」も「一強」も実在していた。
 マクラだけで既に30分以上。ようやく本題に入ったかと思いきや、「三遊亭白鳥兄さんが」とまた脱線。落語を知らないことで有名な人だが、「時そば」を演ろうとしてリアカーを引く仕種をしたとのこと。「リアカーあったんだ」
 本題に入ると、むしろ細かいギャグは入れないオーソドックスな演出。うどん食べる仕種の旨そうなこと。

柳家さん弥「くしゃみ講釈」 そんなに派手な噺ではないのに、この人は過剰演技でドタバタ劇に仕立てる。ただ、主人公のうち片方の忘れ癖がちょっと病的過ぎて私は躓いた。「こんなに忘れっぽいのは不自然だろう」と。まあ私も相当忘れっぽい方ですがね(笑)。こういう人物造型は結構重要かも。

柳家喬太郎「文七元結」 マクラで三道楽に触れて、「侘び、さび、萌え」などと笑いをとって、早々に本題へ。古典落語二席だけというのは、私は喬太郎師の独演会では始めてかも知れない。大抵古典一、新作一だったけど、最近変わってきてるのかなあ。
 店の金を無くして身投げをしようとしている小僧に、吉原に娘を売ってようやくこしらえた五十両をあげてしまう博打好きの江戸っ子職人。正直なところ現代ではリアリティは無いと思う。大ネタなので、ベテランがやればそれなりに格好はつくんだけど、聞いてる側はもう一つ入り込めないのである。
 喬太郎師の「文七元結」は結構笑いの部分が多い。「仕立て屋の美い坊か?」「これでうどんでも買ってきなさい」などと前のネタに絡むところは得意のところ。職人の服装を眺めながら「変わったなりなんで…」と、普通の会話でも演技力で笑わせられるのが強み。更に、文七が「おひさ」思い出せなかったので、「お」のつく名前を挙げている場面で携帯電話が鳴ったのだが、「お電話」などと即興で笑いにつなげてペースを乱されないのは凄い。
 そして、職人が五十両を上げるかどうか悩むクライマックスの場面では、意識的に笑い減らしているのである。全体を笑いで引っ張って、肝心な場面はじっくり聴かせる緩急の絶妙さには感心するばかり。時の経つのを感じさせなかった。もう喬太郎師の十八番と言っても良いのではないですかね。
by funatoku | 2007-10-28 00:01 | 落語 | Trackback | Comments(0)


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