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立川志らく「第8回志らく百席」(9/2 横浜にぎわい座)

立川志らく「不精床」 朝のラッシュ時に駅前で演説している候補者は、一体誰に向けて
喋っているのか。「商店街は閉まっているし、通勤客は誰も止まらない。結局聞いていたのは
それを観察していた私だけ」片山さつきの髪型「B型肝炎から復帰した石川ひとみさんかと」などと
選挙ネタから入り、茶色に染めた自分の髪について、美容室で任せてたらこうなったとのこと。
「ただ、茶色いんで“(快楽亭)ブラックさんですか”と言われたので、黒く染め直そうかと…」
噺家は角刈りでいいという人もいるが、「職人はいいけど、女を演るときはどうなのか」
師匠・談志は泥鰌ヒゲを生やして『紺屋高尾』を演ったことがあり、見ていて可笑しかったが、
お客さんは涙ぐんだりしている。「お客さんには、あの泥鰌ヒゲが目に入らないんですね」
初めて行く床屋で大将に「アッ」と言われ、顔がバレたと思ったら、「円形脱毛症がありますよ」
床屋や美容室で洗髪しながら「痒いところはありませんか」と訊かれると、東京では8~9割が
「ない」と答えるが、大阪では8~9割が「ある」と答える。ホントかいな。
タオルを顔にかけられて「熱いっ!」と言うと、「熱くて持っていられなかったんですよ」

客を乞食と間違えた不精な床屋の大将。「乞食じゃないなら、日本書紀か?」「物貰いじゃ
ないなら結膜炎か」切る前に髪を水で湿してくれという客の頭を、指で“示す”。
甕に入った汚い水にはボウフラが。「♪ボウフラはみんな生きている」名前は太郎とナターシャ。
大将は小僧に髪を切らせようとするが、この小僧が大将以上に危ない奴で、可笑しい。
怒って帰ろうとする客に8万5千円を請求し、「またのお越しを」というサゲ。
「不精を危険な床屋に変えて演じている」(『全身落語家読本』)とのことだが、私は何年か
前に見た古今亭志ん五師の不精床が、まさにこの“危険な床屋”で、未だに印象に残っている。

立川志らく「不動坊」 続けて「東京ブギウギ」の出囃子に乗って登場。「不精床」は前座が普通に
やると場内水を打ったように静かになる。「演りながら不精床じゃなくて、異常者床屋だな、と」

前半は不動坊の未亡人の娶ることになって浮かれる吉公、後半は不動坊の幽霊を出して
吉公を驚かせようとする長屋の連中が主人公。
幽霊役に仕立てようとして「林家正蔵という噺家がいる」「下手糞な?」「…怪談噺の名人だ。
その弟子で正吉というのがいる」その正吉が現われると「喋りが三遊亭ですね」
火の玉を作るためにアルコールを買いに行くが、間違えてアンコロを買ってくる。
「火はつかないけど、食べ過ぎると胸が焼けます」「笑点か」
正吉の幽霊、「四十九日も済まないうちに嫁入りするとは…羨ましい」祝儀を1円貰ったが、
まだ残っている幽霊に吉公「途中でさ迷っているのか」「途中でぶら下がってるんです」

前半は一人キ印で、後半はドタバタ劇。志らく師に合った噺かと思ったが、「いかんせん、噺に
嘘がある。(略)屋根の上に何人も乗り、天窓からうらめしいとぶらさがるなんて、現実感が全く
ない」(前掲書)とのことで、その上この日は体調が優れなかったのか、いつもより口跡が悪くて、
この噺に限らずギャグを聴き取りにくい部分もあった。ま、たまにはこういう日もあります。

カンカラ(コント) 5人組のチャンバラコント。「爆笑オンエアバトル」で何回か見ているが、
落語会に出演するのは初めてなのだという。そういやチャンバラ・コントって久しぶりだな。

立川志らく「お若伊之助」 先日、爆笑問題の番組に出たら、初めて会った眞鍋かをりが
こちらを見て驚いている。落語家というのはおじいさんなのだと思い込んでいたらしい。
「立川談志って知らない?」「えーっと、あんまりテレビとか出ていませんよね」
これには大田光が怒った。「誰もがテレビに出たいわけじゃない!談志師匠はテレビなんか
超越してるんだ!」もっとも談志自身は「最近テレビの仕事が来ない」とボヤいていたとか。

恋仲の伊之助と引き離されたお若のもとへ、伊之助に化けた狸が通ってきて懐妊する噺。
「猫にかつぶし、噺家に財布、金正日に核兵器を持たせたような…」
「柳家小三治と鈴々舎馬風、仲が悪い。…面白いでしょ」
「そこにいたのは…ぺヤングの志の輔。じゃなくて伊之助」
「伊之助だ」「式守?」
「このエロダヌキめ。人間国宝になんかなって…」
なんてクスグリを入れたのは、「(三遊亭)円生のイメージが強くて演りづらい(略)。くすぐり
というくすぐりがことごとく円生の色に染まってしまっている」(『全身落語家読本』)からか。

「結末をなんとかしたい。(略)陰惨だ。女がかわいそう。せめて二人を一緒にさせてあげたい」
(『志らくの二四八席辞事典』)ということで、志らく版ではお若伊之助は晴れて夫婦になる。
「女の腹から生まれてきたのが狸の双子で、これを葬ったのが因果塚である、というラスト」
(同上書)だが、訊いてみたらそんな由来は無いそうで、「いかに落語がいい加減かという」
by funatoku | 2005-09-03 18:11 | 落語 | Trackback | Comments(0)


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