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立川談志と若手精鋭落語家の会・其の二(4/22 調布グリーンホール)

柳家三三「二十四孝」 マクラは女子高生ことば。「今の落語面白かった?」「微妙」
しまいにゃ無かったことにされちゃう。「あり得な~い」
大したネタじゃないのに、間がいいのでやけに面白いのだ。マクラも上手いなあ。
「こだわりシェフの気まぐれサラダ…、って一体どっちなんだか」なんてギャグも同様。

「二十四孝」にはご隠居が出てくるが、年寄りは前座の頃からの得意技。
声にはえらく張りがあるのだけれど(笑)。親不孝者とのやりとりもテンポが良く快い。
「何だ、“母上”なんて符丁を使うから…」なんてセリフに爆笑。

声は大きく明瞭、ストーリーを知らない人でも分かりやすい、そして何より面白い。
学校落語というものは落語嫌いを生みかねない面があると思うのだが、この人が出るなら安心だ。

立川談春「おしっくら」 「三三はあの芸歴の中では一番上手い。将来の名人だから
今のうちにいじめておいて、自分に頭が上がらなくする」見るからにいじめっ子キャラの
談春師が言うとシャレにならないような…。「談志、小三治の確執が、弟子にも続くという…。
談志・小三治の仲が悪いって噂が流れた方が面白いでしょ(笑)」
「練馬でもこの会をやったんですけど、若手精鋭落語家といっても、そんなにいませんから
他には志らく、喬太郎…、そのあたりが入れ替わり立ち代わり出てくるだけで…」
「この後には“何で俺が正蔵じゃないんだ”という人が出てきます。」もう言いたい放題(笑)。

本題は「三人旅」の後半部分。東海道経由ではなくて、中山道の宿場と言う設定。
宿のババアのキャラクターが面白い。延々とやってるんだけど、何だかとっても変なの。
何弁なんだろう。言葉の通じない「15の女」も変。談春師の女の描き方は面白いなあ。
逆に男3人のキャラクターはあっさり、というかあんまり重視していない感じ。
オチは「油を買ってお灯明でもあげてくれ」。髪も抜けたババア遊女って、凄まじいな…。

林家たい平「七段目」 たい平師のマクラは声色を使うものが多い。
市川団十郎と中村福助の真似方→団十郎は息を止めてから。福助は“アイ~ン”の応用。
その他のマクラでもテンポ良く笑わせておいて、「七段目」へ。聴くのは2、3年ぶりか

こういう物真似を入れるネタは、たい平師の得意の世界で、今日一番笑いをとる。
最近聴いたたい平師の高座の中でも、ここまでテンポが速いのは久しぶりという気がする。
ここまで、三三さんは正攻法で、談春師は変化球のチェンジアップで、たい平師は爆笑編、
というなかなか良い組み合わせである。

立川談志「青龍刀権次」 飛び降り自殺したポール牧について、「“ホラ吹きポール”と
言われていましてね。迷惑かけられました」なにか因縁があるのかしら…。
「ライブドアに“もっとやれ”というのが落語家の了見だ」と言ったのは、ニッポン放送で
レギュラーを持っているたい平師に対する強烈なジャブ(?)、かつエールということか。
家元はそれだけたい平師を認めているということでしょう。

「普段やらない噺をやります。なぜやらないかって言うと面白くないからで…」と本題へ。
私は名前も知らなかった噺なのだが。家元以外で今これをやる人はいるのかな。
幕末、侍が芸者を斬り殺すのを見た博打うちの権次は、その侍を強請りに行ったが、
犯人に疑われて逮捕されてしまう。七年の入牢を終えて出所すると、明治になっていたが、
そこであの侍が羽振りが良くなっているのを見つけて、また強請りに行ったら贋札を掴まされ、
今度は五年の入牢。出所した権次は偶々出くわした例の侍を三たび強請りにかかるが、
「爆裂お玉」という女が現われ、権次にピストルをつきつける…。というところで終了。

帰って調べたら、「青龍刀権次」は浪曲や、講談ではよくかかるようで、神田山陽師も
レパートリーにしているらしい。落語で誰がやっているかはちょっと分からない。
途中で色々と注釈や余談が入る“家元流”の「青龍刀権次」になっていた。
終わってから「昔覚えたきりで、殆どアドリブ」とのことだったが、先月横浜で演ったようだ。
それにしても、この噺の結末はどのようになるんだろう?
by funatoku | 2005-04-24 12:40 | 落語 | Trackback(1) | Comments(5)
Commented by funatoku at 2005-04-25 12:50
せっかくトラックバックをつけて頂いたので、談春師の“小三治ネタ”をもう少し。
初めて楽屋で会ったとき、小三治師匠はバイクに凝っている頃で、
フルフェイスのヘルメットで現われたので、誰か分からなかったほど。
「談志の弟子で談春と申します」と挨拶すると、沈黙が2分…。
小三治師「……お前、牛乳飲むか?」
結局、二人で飲んだとのこと。
Commented by Izumi at 2005-04-25 13:15
談春さんの牛乳の話、めちゃくちゃ面白かったですね。どんな楽屋かとおもいました。
たい平さんの狂牛病と鳥インフルエンザ、セコムのマクラは多分4回は聴いてますが、面白いですね。
Commented by funatoku at 2005-04-25 15:19
私は「セコム」は初めてだったかも(笑)。
前の三人が面白かったので、家元はわざと渋い噺をかけたんですかねえ。
でも、金曜夜で、あのメンバー。それにしては、客の入りが寂しかったのが残念です。
Commented by comomaru at 2005-04-26 00:58
この位の客の入りが良いんですと言った談春師は正直な台詞か皮肉か判断に迷いますなw 今は鳥インフルエンザが豚にうつるらしいですよ。w
Commented by funatoku at 2005-04-26 01:15
聴く方にすると、あの位だと楽ですよね。ただ、単に家元がトリをとるだけでなくて、
家元が各出演者に演目を指定するとか、何か工夫が必要なのかも知れませんね。


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