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中村うさぎ『変?』角川文庫

中村うさぎの最新の週刊文春連載エッセイのタイトルは、「生きることを考える」。
ブランド物依存、ホスト依存、美容整形依存を経て、思えば随分遠くに来たもんだ。
本書は買い物依存からホスト依存への移行期だった2002年の対談の文庫化である。

和田秀樹「いつも誰かと飲んでいる人は、(アルコール)依存症にはまずならない。」
中村「わかりますその気持ち。私も絶対に誰かと買い物に行くのはダメなんですよ。」

原田宗典「鬱病を治そうなんてもう思わない。俺が生きてる間、ずっと抱えて歩く
鞄なんだと思うことにしたよ。時々、重くなったり軽くなったりするだけなんだ…。」

本橋信宏「依存症の人の部屋は散らかっている。大体煙草を吸うが、吸殻にはうるさい」
中村「そうなんですよ。しかし、何なんでしょうね。部屋が汚いのは。」
本橋「あれも自己愛のつもりなのかもしれませんね。周りを囲まれているという。」

中村「私、人の金は遣わないんですよ。自分の稼いだ金でブランド物買うのが醍醐味。」
団鬼六「やっぱり、売るより買う方が好きなんか。それはSやな。」
中村「そうなんです。私のブランド物買いは、先生の書かれるSの心理に似ています。」

中村「世界を変えたがる男と、自分を変えたがる女。少年犯罪vs依存症女の構図になる」
宮台真司「依存症って、一種のプライド維持装置なんですよ。自己信頼が低い人の。」

中村「虚しくないモノがどこかにあると思いたいの。それが私の“神”かもしれない。」
宮台「だから神は死んだんですよ、中村さん。ニーチェが見たら、きっと褒めてくれるよ。」

中村「金遣えば遣うほど、その彼に性的な壁ができていくの。私の心の中で。」
松本侑子「男根恐怖なんじゃないかしら。私もそういうところがあるけど。」

苫米地英人「ホストクラブに行くたびに、中村さんは死を経験しているんですよ。
その死の恐怖が快感をもたらす脳内物質を分泌させるのです。」

“過剰”は哲学に通じる(逆に言えば、過剰さを孕まない哲学はとるに足らない…かも)。
しかし、誰にでも実践出来るものではない…、と中村うさぎを読む度に思いますね。
by funatoku | 2004-11-23 23:19 | 文庫・新書 | Trackback | Comments(0)


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