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新潟から仙台へ(7/29~30)

*早起きして上野駅に駆けつけ、新幹線ホームに向かっているとコンコースで何やらイベントを
やっている。駅でのイベント自体は珍しくないが、朝7時前にやるのは珍しいと思って覗くと
ステージには見覚えのある二人組がいた。狩人である。この日から会津若松行特急あいづ号が
走るのに合わせて「磐越西線」という新曲を発表したらしい。思わず足を止めて聞き入って
しまった。曲調は殆んど「あずさ2号」。両方知らない若い子に聞かせたら区別がつかないかも。

*2日前に、最後の1枚と言われ慌てて買ったとき305号新潟行は喫煙車で、これはキツイな
と思ったが、越後湯沢を過ぎると車内はガラガラになった。いまだ梅雨が明けないので案じて
いた空模様もすっかり晴れてきた。新潟に近づいて車掌が乗り換え案内をアナウンスした後、
慌てた様に付け加えた。「失礼しました。SLばんえつ物語号本日運休いたします
エーッ!それに乗る為に新潟に来たのに…。呆然として新潟駅で尋ねると、このところの大雨で
地盤が緩んでいるため運休するとのこと。しかし他の列車は運行するというのがよく分からない。
ディーゼルカーなら軽いから地盤が緩くても平気ということなのかな?

*ともあれ後続の磐越西線連絡列車まで1時間20分ほど時間が空いたので、朝食でも摂ろうと
駅前を歩いてみたが開いている店は無く、駅ビルに戻って「長岡小嶋屋」でへぎそばを食べた。
ツルッとした歯触りで夏向きだが800円にしては量が少なかった。
新潟発1045。新潟郊外の建売住宅群を眺めているうち新津着1105。ばんえつ物語号の客車が
側線に留置されているが、新津運輸区所属の機関車の姿は見えない。
新津始発1134。ばんえつ物語号に乗り損ねた人が多いようで、2両編成のキハ47形は満席。
車内の会話を聞いているとばんえつ物語号の運休は今朝の地元紙に載っていたらしい。
携帯で「列車運行情報」を確認していれば良かったと後悔しても後の祭りである。

*しかし、磐越西線のこの区間は初めてで、SLを抜きにしてもなかなか見応えのある車窓風景だ。
阿賀野川(福島県に入ると阿賀川に名が変わる)の雄大な流れが常にどちらかの車窓に見えており、
「森と水とロマンの鉄道」なるキャッチフレーズをつけるのも頷ける。
その阿賀野川は大雨の影響で茶色く濁って増水していて、脇を走る国道49号に水位が近づいて
いる所も見られた。県境が分水嶺ではないので、川を眺めているうちにいつの間にか福島県に
入っている。これは紅葉の季節に是非乗りたい路線だと思う。喜多方で会津盆地に出て、
会津若松1408着。この駅構内には有名なライブカメラがあって、私も時々見ているので初めて来た
とは思えないのだが、乗換時間わずかで1413発の郡山行快速に乗り込む。電化されて列車の
本数も多い区間なのだが、むしろここからが山越えで、沿線の最高地点は磐梯町~翁島間にある。
頂上だけ雲に包まれた磐梯山など眺めて1時間、郡山1513着。やまびこ119号で仙台1620着。

*早速、今日の宿である東横イン仙台西口広瀬通にチェックイン。シャワーを浴びてフルキャスト
スタジアム宮城に向かうが、試合については別項で改めて書く。東横インは値段の割りにベッドや
風呂が広いし、質素なロビーも実用本位で好感が持てる。東急インもどきの名前だけは頂けないが。

*試合が終わるとすぐに定禅寺通りの「一心」に向かう。実に1年8ヶ月ぶりだ。
相変わらず突き出しの刺身三点盛が美味い。「日高見」「伯楽星」など宮城の地酒を傾けつつ、
カワハギの刺身を食べることにした。肝も添えられていたが、これまた美味い。今日は入店が
遅かったし、車中や球場でもビールを飲んでいたので、惜しいけど3杯で止めておこうか。

*翌朝、仙台駅前930発の仙台市営バス作並温泉行に乗り込む。やたらアナウンスが丁寧というか
細かい運転手で、割り込み車にクラクションを鳴らしたのを「お見苦しいところを~」などと言うのには
感心した。しかしブレーキが必ず遅れ気味で、停留所ではドアがガードレールにかかってしまう。
70分ほどで作並温泉元湯に到着。湯づくしの宿「一の坊」へは橋を渡って徒歩3分である。
ここは私なんぞには縁の無い高級旅館なのだが、日帰り湯を楽しむことが出来るのだ。
フロントで1300円を払い、日帰り客専用のロッカーで浴衣に着替える。まず、露天風呂に
入ってみたが、こりゃあ凄い。渓谷の屈曲部の水面近くに作られていて、深山幽谷のような
趣である。時間が早かったせいか客も少なくて、蜩の声だけが谷間に響いている。秋や冬の景色も
素晴らしいだろうなあ。ボーッと眺めを楽しんでいたら、そろそろ時間が危なくなってきたので、
再び浴衣に着替えて大浴場に向かう。同じ館内でも別の場所にあるので浴衣が必要になるのだ。
1200発のバスで戻ったのだが、館内の移動にも時間がかかるし2時間ぐらい取るべきだった。

*作並では霧雨が降ってきていたが、市内に戻ると曇り。国分町「味太助」で牛タン焼き定食を
食べて勾当台公園へ。ここで東北放送のラジオ祭をやっておりメロン記念日が登場するのである。
私はまかり間違ってもこういう場でメロン記念日Tシャツを着用するようなことはせず、あくまでも
「通りかかった一般のヒト」のフリをするのだが、東京から来たオタク連中もいて朝から来ていたのか
最前列に陣取っている。メロンファンで百数十人といったところだろうか。予定の1430を10分程
過ぎてようやくメロン登場。まずシングルとc/wを歌い、村田さんが司会を務める「ファンフィールド」
という番組について説明、祭の屋台のこととか、ライブツアーの宣伝などを付け足しのようにちょっと
喋って実質20分。東京からわざわざ来たファンはご苦労様なことである。あ、私もそうか…。
そもそもファンと一般客が混在する中でフリートーク出来るほどの技量はまだ無いのだから、
司会者をつけるなり、何か台本用意するなりして欲しかったところである。

*七夕の準備も進むアーケードを仙台駅まで歩いて戻り、駅ビルで笹かまぼこなど買ってから乗った
1626発はやて20号は大宮まで無停車。わずか1時間半で帰ってきたら東京は梅雨明けしていた。
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「一の坊」の露天風呂。また行ってみたいけど、景色のいい季節は混むかも知れませんね。
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by funatoku | 2006-07-30 23:12 | 旅日記・温泉・鉄道 | Trackback | Comments(0)

立川談春独演会~熱帯夜なんじゃねえか?~(7/24 イイノホール)

開演前に場内で女性が真面目に「熱帯夜なんじゃねーか」とアナウンスしていて妙に可笑しい。

立川談春「宮戸川」 「万雷の拍手で…(笑)」とにこやかに登場。イイノホールは「にっかん飛切
落語会」のレギュラーだった頃に来ていた。そこで初めて知り合った春風亭昇太、高座で
「普段客のいない寄席でやってるんで…」といきなりカメラを出して客席を撮り、自分も客席から客に
撮ってもらっている。「こんなつかみがあるんだ」と驚いたが、向うも駆け出しのくせに
「大工調べ」を演った談春に驚いていたらしい。一年目に「努力賞」を貰ったら、志らくに
「似つかわしくない。審査員の目は節穴か」と言われた。ところがその後何も賞を獲れない。
昇太兄さんからは「お前が一番うまくて、俺が一番受けた」と慰められた(?)が、その昇太兄さん、
真打昇進直前に「今年は自分が大賞を獲る。来年は談春が獲れ」などと言ってたが、
蓋を開けたら「特別賞」。いや怒ったの何の、普段怒らない人が怒るとこんなに変わるかという
位に怒った。それもきっかけになりレギュラーを降りた。立川流若手がいなくなったので、
立川笑志が入り14年レギュラーをやって何度も賞を貰った。もはや笑志の真打昇進を認めて
いないのは日本で立川談志一人になったのだが、「にっかん」関係者にそう言われると、
家元は抵抗した。「出てるのが馬鹿で、選んでるのが馬鹿じゃねーか」

前座時代に辞めようと思ったのは一回だけ、家元と渋滞で動かないタクシーに乗っている脇を
高校生のカップルが二人乗りの自転車で追い越していった時。しかも女が漕いでいた。
などとふって「宮戸川」。将棋を指していて家から締め出しを食らった半七、隣家のお花も
締め出しを食らっていた。仕方なく霊岸島のおじさんのところへ泊めてもらおうとするが、
お花もついてきてしまう。早合点のおじさんが二人を二階の部屋に寝かせたが、夜中に落雷が
ありお花が半七に抱きついて…。「この先はまた今度」

お花との仲を誤解されるのを恐れる堅物の半七と、遊び人で早合点のおじさんのキャラクターの
対比が可笑しい。特にこういう勢いのあるおじさんは談春師匠の独壇場だなあ。とても
お婆さんと2歳差には見えないけど、面白いから野暮なことは言いません(笑)。38分。

立川談春「景清」 着替えてすぐ登場。今日は会場に盲がいるが自分の友人で許可もとって
あるからと前置きして、駅で困ってる盲人に親切にしようと腕をいきなり掴んだら恐れられた
というエピソードから「景清」。題名がストーリーに出てこない噺が続く。

目を患った木彫師の定次郎が上野の清水の観音様に願をかけ、通いつめた百日目に雷に遭って
目が開くという噺。先日の喬太郎師「心眼」と似たような噺で、談春師も人情噺として笑いは
控えめだが、喬太郎師よりは途中にちょこちょことクスグリを挟んでくるところが異なる。
すぐに目が開かないので観音に悪態をつき、「(石田の旦那に)親切な方だ。あなたの親切の
半分がこの観音にあったら」などというセリフがもう可笑しくて仕方が無い。
目が開いた定次郎が一晩で観音像を彫り上げて石田の旦那のところへ持ってゆくと、旦那
は感心し「さすが私が目をつけただけはある」「いえ、あっしに目をつけたのは観音様です」
というサゲはオリジナルの演出なのか、それとも誰かが演った形なのかな。40分。

立川談春「不動坊」 中入り後はフェードアウトするような落語をと「不動坊」。なのだが、
初めて聞く発端だ。いきなり長屋の鉄さん、万さん、徳さんが、不動坊の未亡人おたきを
娶ることになった吉さんを驚かせる相談をしている。つまり結婚することになった吉さんが
風呂で浮かれる前半が省略されているのだ。これにはガッカリ。私が「一人キチガイもの」と
呼んでいる大好きな部分なのである。この噺、確かに前半と後半で場面も雰囲気も変わるのだが
これはショートバージョンなのかな。でも談春師の前半部分も見たかったなあ。
幽霊に扮する落語家が怪談噺の名人林家正蔵の弟子で林家どうぞう。「妙に明るいな。
一門の芸風か」と言ったら拍手喝采で流れが一旦止まったのには、談春師の方が驚いたようで
「こんなに賛同得るとは。いい人なんだけどな」「正蔵は何代目だい?三代目」と戻していた。

サゲの「宙にぶら下がっておりますから」で下げかけた幕を再び上げて、秋の7日連続の
独演会の告知。七日連続というのは大変なことなのだが、そう思ってもらえないのは、
兄弟子(立川志の輔)が1ヶ月連続してパルコで演ってる(笑)。「あれ寿命縮めてるよ」
「七日やるんだから、一日くらい来れるでしょう」いやいや果たしてチケットが手に入るか…。
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by funatoku | 2006-07-26 01:48 | 落語 | Trackback(2) | Comments(0)

第51回所沢寄席 国本武春弾き語りと落語新時代(7/22 所沢:ミューズ・マーキーホール)

雷門花助「八問答」 学校寄席での体験などをマクラにふってから「八問答」、…だと思う。
「増補落語辞典」の説明とはちょっと違う筋なのだが、ご隠居が八五郎相手に“八尽くし”を
述べ立ててゆくテンポの良さで聞かせる噺。

立川志らく「幾代餅」 この所沢寄席には二つ目の頃から来ていて、立川談志独演会でも
一門から一人だけ出演した。「そろそろ独演会かと思っていたら、このザマで…」
W杯でジダンが「お前の姉ちゃんは売春婦だ」とか言われて相手に頭突きを食らわせたが、
身に覚えの無い悪口なら平気でいられるはずなのに、なぜあんなに怒ったのか…。
「傾城に誠無しとは…」と幾代餅へ。志らく師匠の幾代餅は1年半前に聴いて以来。当時の
私のブログ
にはちょっと曖昧な感想が書かれているが、要するに笑いの量は志らく師匠としては
少ない方だったのだ。私はやはり「面白い」志らく師匠が好きなので、「粋」とか「江戸の美学」
みたいな方向に余り拘って欲しくないなあという気持ちが、あの記述になったようだ。
そして久しぶりに聴いてみたら…、すっかり爆笑落語になっていて随分と印象が違う。
恋の病に落ちた清蔵の狂いっぷり、搗き米屋六兵衛夫婦のとぼけた会話、女郎買いに付き合う
迷医薮井竹庵、吉原の遊郭の女将、全て志らく師の自家薬籠中のキャラクターになっており、
廓の雰囲気や幾代の人物像など、笑いにつながらない部分は思い切って省略されている。
大胆な演出に快哉を叫びたくなるが、師匠のブログによるとそうではなかった。(7/23)

幾代餅、どうもしっくりこない。やはり紺屋高尾でやるべきか。幾代の方が高尾よりは可愛い感じがする。でもあの異常な愛の告白をまともに受け止められるのは高尾の方ではないか。イメージの問題だが。決めた。今度からは紺屋高尾でやろう。もう幾代餅は封印です。

あれれ、高尾と違うのかなあ。またいつか紺屋高尾を聴く時の楽しみにすることにしましょう。
サゲは清蔵と夫婦になった幾世の出産予定が「来年の3月15日」。数分のマクラ含めて27分程。

春風亭昇太「茶の湯」 まず笑点メンバーに選ばれた経緯など。「地方に行くと、落語家は
笑点に出たくて落語家をやってると思われますが、落語をやりたいから落語家なんです」
「記者会見の時も円楽師匠がほとんど喋ってしまって、準備したギャグを言えなかった…」
「場所は真ん中です、といわれて行ってみたら両側は黄色と紫、つまり馬鹿と腹黒ですから…」
さらにレポーターとして行った愛知万博に年寄りの客が多かったこと、更に小学生の頃に
行った大阪万博でお目当ての月の石を見られずに、カンボジア館に行ったこと等々。
「2時間並んで見たロボットの動きが遅い(笑)。そこらの子供の方が余程複雑な動きをする」
こうして書くと大したこと無いネタで爆笑を巻き起こしていくのはお手の物である。

かれこれ20分ほどマクラで笑わせてから「茶の湯」。なかなか独演会をやってくれないので
古典を聴く機会が少ないが、私は昇太師匠の古典が大好きなのである。新作派の師匠に失礼
かも知れないけど、どうしても客を選ぶことになる新作より古典の方がいいと思う。
初めて聴いた「茶の湯」も古典だけど昇太ワールドという楽しい一席になっている。
青黄粉を熱湯で溶き、椋で泡立たせて風流ぶっている茶の湯を、ドタバタ風にテンポ良く
畳みかけてゆく。また昇太師の定吉が可愛げがあって面白いんだ。
昇太師匠の古典の中では以前聴いた「ちりとてちん」と並ぶ面白さだった。

国本武春「忠臣蔵」 生の浪花節は初めて。とはいえ出だしはブルース調の曲だった。
声を聴いて分かったが、NHK「笑いがいちばん」のエンディング曲の人ですな。
さらにマクラとして「待ってました」「日本一」の掛け声や、「忠臣蔵」の場面を客席にやらせるのが、
ストーリーの予習になっているのでなるほどと思う。
ただし、本編は「忠臣蔵」の「松の廊下」から「浅野内匠頭切腹」だったのだが、前半はロック調で
後半はバラード風。歌はさすがだが、流れているのが打ち込みドラムなので音が何ともチャチ。
新しい革袋に入れるべく工夫しているのだろうが、これはまだ浪花節という範疇に属するのかな。
私にはよく分からないが、鳴り物に関しては“三味線ロック”とでもいった感じである。
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by funatoku | 2006-07-24 22:56 | 落語 | Trackback | Comments(0)

柳家喬太郎独演会「みっちりナイト~男と女」(7/7 中野ZERO小ホール)

以前、このZEROホールというのは散漫で落語向きでないホールだと書いたけど、来てみたら
今日は小ホールの方だった。喬太郎師を小さなホールで聞けるなんて贅沢だと思って入ると、
こちらも随分間抜けな造りで、舞台の幅に比して客席の幅が広過ぎる。私は「さ列3番」だった
が正面にあるのは壁だ。ホールというものに対する考え方が間違っているとしか思えない。

柳家喬之助「寄合酒」 さん喬一門の弟弟子。師匠さん喬は今アメリカ公演に行っている。
短髪で明朗な口調、いかにも二つ目らしいと思ったらこの春に倒れたとのこと。
若い衆が集まって酒を飲もうという冒頭は「酢豆腐」と同じ。与太郎がオカマ言葉で出てきて
「今日は“男と女”だけどこの噺は女が出てこないんで」なんてギャグは兄弟子譲りか。
つまみを調達してきた三人共「角の乾物屋」からくすねていたことが判明したところでサゲ。
私の経験では開口一番で「あれ、もう終わり?」と感じる人は、大抵上手い人なのだ。

柳家喬太郎「純情日記渋谷編」 一杯の場内を見回し「3割の方がSWAと間違えている
んじゃないかと…(笑)」4月に横浜にぎわい座でさん喬一門会があって、若手はリレー落語で
「初天神」。「そんなリレーでやる噺じゃありません。前座の柳家小ぞうは“初天神の序”が
初高座になってしまいました」「喬四郎というトンチキな野郎がおりまして…、いえ弟弟子には
出てきて欲しいんですが、あれは無理でしょう(笑)」その喬四郎が新作風に変えてしまったので、
後の喬之助が話を戻すのに苦労をして、喬四郎は楽屋で師匠からお小言を受けていた。
そこへ下座の部屋で喬之助が倒れたという知らせがあり騒然となった。その後のさん喬師の
「百川」の出来が良かった。「弔い合戦だと思っていたようです」一方、救急車で運ばれた喬之助、
救急隊員が携帯を借りて実家に電話をかけたが、母親が「オレオレ詐欺だと思いこんで
本気にしないんです」結局、心筋梗塞だったとのこと。

先月、長野県飯田の学校寄席に行き、夜何人かでスナックに行ったら、そこのママと一人だけの
客が何やら訳あり風で、歓迎されていない雰囲気だった。「『時間ですよ』の篠ひろ子と藤竜也
みたいなんです。そりゃあ我々は…居座りましたよ。こっちは由利徹と左とん平で(笑)」
と話をふって本題へ。ところが何度も聴いた(CDにも収録されている)この噺の設定が違う。
元は大学卒業前後という年齢だが、今日は38歳の男と32歳の女という七夕バージョン。
二人のキャラクターはそんなに変わらないが、日本海の方に左遷される男が女と渋谷の街を
歩くという設定。「♪北から上がったミサイルが…、ドンドンテポドン…」「喫茶店とさくら水産は
(割り勘じゃなくて)払うよ」「(彦星と織姫を林家)彦いちと(林家)きく姫」というあたりが
オリジナルには無かったこの日の新ギャグなのかな。手馴れたテンポで爆笑をとっていく。
ただし、この話は最初に作られたであろう約20年前ならいいのだが、現代に置き換えると
「二人は携帯電話で連絡とればいい」ということになってしまい、無理が出てくるんですね。

ペーソス(ペーソス・コンサート) 五十代の男性デュオ+MC。オヤジをテーマにした
陰気なコミックソングの如きものを延々と唄う。寄席定席で間に挟まるならともかく、30分間も
続いたのには恐れ入った。後半はさすがに眠ってしまったけど…。

柳家喬太郎「心眼」 「足利健康ランドへようこそ」すっかりダレ気味の場内を一気につかむ
喬太郎師のこういう一言はまさに絶品。全盛期のビートたけしや近年の島田紳助に勝るとも
劣らない反射神経とボキャブラリーである。柳亭市馬師匠は唄が上手くて、古い歌謡曲が
好きな立川談志師匠に最近気に入られている…などと軽くふって本題へ。

実弟にど盲呼ばわりされた按摩の梅喜、茅場町の薬師様に目が開くように願をかけに行く。
いよいよ満願の日となり目が開いたが、居合わせた上総屋の旦那に「女房のおたけは醜女だが
心根がきれいだ。二枚目のお前に芸者の小春が惚れている」などと言われる。帰り道の浅草で
その小春に会っていい雰囲気になり「女房とは別れて、お前と一緒になる」などと怪気炎を
あげていると、おたけが乗り込んできて怒って梅喜の首を絞める…、ところで目が覚める。
全ては夢だったのだ。おたけに願掛けは止めると告げ、「見えない方が、よく見える」

主人公が盲人のせいかなかなか聞けない噺。喬太郎師は前半笑いを抑えてドラマ性を盛り
上げる。このあたりは憎いばかりの演出上手だ。初めて笑いが起きたのは、目が開いた梅喜が
自分の手の指を数えて「一本足りない」とつぶやくところ(数えてる指を勘定に入れてない)。
その他に喬太郎師流のクスグリは、上総屋が梅喜におたけのことを「人三化七」ではなく
「人無化十」と言うところや、小春と酒を飲もうとする時に「血糖値」「中性脂肪」だの
言うあたり。「たまには(ギャグ)入れとかないと息が詰まる」なんておっしゃってましたが、
意識的に笑いを抑えても、ストーリーでこれだけ客を惹きつけられるという地力の強さが出た一席。
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by funatoku | 2006-07-15 02:46 | 落語 | Trackback | Comments(0)

立川談春独演会(7/2 横浜にぎわい座)

立川志雲「初天神」 初めて見るが立川流では珍しい上方落語家。
この会は普段開口一番が無いが、談春師から3日前に電話をもらい急遽出演とのこと。
初天神は東京でもお馴染みだが、こちらはなかなか天神様に出かけずに、父親の行状を
向かいの家や母親に言いふらしたりする上方流。東京流の駄々っ子のような金坊ではなくて、
子供の喋りが達者なところが違う。天神様に行く前に終わる「初天神」は初めてだった。

立川談春「長短」 先日一門会で聞いた「竹の水仙」が良かったので志雲を呼ぶことにした。
立川流にはこういう無名の強豪がいてまるで「キューバ野球」のよう。ちなみに落語協会は
セ・リーグで、落語芸術協会はパ・リーグ。「円楽党はというと…、“がんばれベアーズ”」
(なかなか真打になれない)志雲も笑志も要領が悪い。家元に歌と踊りがダメと言われたら、
真面目に習いに行っている。志の輔、志らく、談春いずれもそれ程踊れないし唄えない。
家元も「踊りなんか東京音頭でもいいんだよ」などと言い出して、「家元の周りを笑志と志雲が
東京音頭で練り歩いてる。『違う!こうだ』。一体どういう空間なのかと」
一方、聞いてるふりして何も聞いてないのが15年も前座の立川キウイ。「ハイ。ハイ。ハイ。
もう仰る通りです」馬鹿にしているのかと思ったら、大先輩の立川左談次師匠にも同じだった。
「ハイ。ハイ。ハイ」「隣の空き地に囲いが出来たね」「ハイ。ハイ。ハイ…」温厚な師匠が怒った。
一方「頭のいいキウイが志の吉。よく私が弟子を育てられないなんて言われるけど、私どころ
でないほどピリピリしていた頃の志の輔兄さんの一番弟子を務めただけに要領がいい」
あれ、談春師匠ひょっとして2ちゃんねる見てる?

ワールドカップのオーストラリア戦の時、競艇番組のロケに行っていたが「興味ない」と
言ったら番組スタッフがまじまじと見て「非国民!」「70年経っても日本は何も変わってない」
部屋に呼んだマッサージ師に「サッカー見ないの?」「私ゃ目が見えませんから…」
サッカーの裏で立川談志が出た「情熱大陸」、視聴率は2.8%だったとのこと。

釣りが趣味なのだが、どうも周りからそう見られない。気が短い方が上達するらしい。
「十人寄れば気は十色と申しまして…」と「長短」へ。談春師が気が短い短さんが似合う
というのは誰でも思いつく。では気が長い長さんをどう演じるのか、という関心が湧いてくる。
うろ覚えだが「長さんが与太郎になっちゃいけない」と言ったのは、この噺を十八番にした
故・柳家小さんだった。ただし、そのせいか特に柳家系統の人が演じると、小さん師匠の顔が
浮かんできて仕方がない、ということがある。名人芸恐るべし。談春師もそのあたりは意識
していたようでわざと「顔の丸い人は~」などと小さんのクスグリを混ぜて見せた。
人によっては見てるほうが苛立つほど長さんを遅く喋らせたりするが、談春師の長さんは饅頭を
食べに行くときの動作が思いがけず速かったりして緩急のメリハリがある。勿論与太郎ではない。
また何年かして聴くと長さん、短さんの印象が全く違っているかも知れない。

立川談春「桑名舟」 「だから教えない方が良かった」とサゲて一礼、「今日は珍しい噺を」
と続ける。私はこの噺を「鮫講釈」と思っていたのだが、落語の本には「鮫講釈」という項目が
無くて「桑名の鮫」「桑名船」になっていたりする。「桑名船」というのは「巌流島」の別名ととする
本もある。ネットで検索した限り、立川流の落語家が手がけることが多いようなのは、講釈好きの
家元の影響かもしれない。前段は旅の二人組が遭遇する設定だが談春師はアッサリと。
何年かに一度、渡し舟から鮫に生け贄を出さねばならないのだが、生け贄にされることになった
講釈師も確か名乗っていなかった。「私が生け贄に選ばれたということは私の芸が必要とされて
いないんでしょう」などとアッサリと運命を享受するのだが、最後に一席と始めた「総合講釈」が
凄かった。忠臣蔵、次郎長、源平合戦、昔話に童話、講談調で語ってゆくテンポと口跡の良さ
には惚れ惚れする。(船底をパンパン叩くから)蒲鉾屋かと思ったというサゲが蛇足に思える位。

立川談春「大山詣」 大山詣での旅の途中で喧嘩をしたら坊主頭にすると約束したのに、
喧嘩をして寝ているうちに坊主にされ、さらに置き去りにされた熊五郎。一足先に江戸に戻り、
仲間は死んだと騙して女房たちを坊主頭にしてしまうという復讐譚。
「普通、復讐劇は復讐する側に感情移入して見るので、目的が達成した時溜飲がさがるのだ。
しかし大山詣りに関しては、主人公に全く感情移入出来ない作りになっている。(略)坊主に
した当人達に仕返しをするのでなく、女房連を坊主にするという、じつに非道な男である。(略)
それも女房連を騙すのに、亭主は旅先で事故死したと言う。人の生き死には普通洒落では済ま
ない。この噺の後味の悪さは全てこの熊さんの人格にある。」(立川志らく『全身落語家読本』)
全くその通りで、以来私は「大山詣り」が苦手になっちゃった。談春師匠はテンポ良く進めて、
面白い一席だったのだけれど、聞き終わると「お怪我(毛が)無くっておめでたい」じゃ済まないだろ、
もう長屋にいられないなと釈然としないものが残るのだ。うーむ「昔はものを思わざりき」だなあ。
ついでに引用、「『きめしき』を交わすのを、五代目柳家小さんは、長屋を出発した後にしている。
これはそうでないと頭を剃る約束をしたのを女房たちが知っていることになり、熊公の嘘が
きかなくなってしまうからである」(延広真治編『落語の鑑賞201』)
これも確かにそうだ。ただしその演出だと、説明が長くなって間延びしてしまいそうだ。
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by funatoku | 2006-07-05 01:22 | 落語 | Trackback | Comments(0)

春風亭勢朝「戌年も高度勢朝の会」(6/30 池袋演芸場)

三遊亭たん丈「たらちね」 今週2回目。円丈師曰く「こんなに落語を知らない新弟子は
新潟(現・三遊亭白鳥)以来」とのこと。新作志向なのかな。

柳家一九「悋気の独楽」 小僧の定吉なんか演るとホンワカしたムードで、なかなか
味があるのだけど、どうもマクラは毎回滑り気味。マクラで客を引かせてる気配も…。

春風亭勢朝(新作落語) 「落語協会は鈴々舎馬風師匠が力づくで会長になりまして…」
「私が入門した頃は柳家小さん会長に、マグレでなったと言われた蝶花楼馬楽副会長…」
「楽屋に小さん師匠と馬楽師匠がいて、『馬楽さん“おしん”は見てるかい』『朝拝んでから
見てるよ』『見てから拝め』…。これが会長と副会長の会話なんです(笑)」
「社団法人には規約があって理事について定められているのだけれど、誰かが小さん会長に
規約を見せて欲しいと言ったら『そんな大事なものは見せられねえ』柳生武芸帳かと(笑)。
本当は規約では4年に一遍会長選挙をしなければならないのに、22年間無選挙だった」
「林家きくお最新情報。先頃亡くなった三遊亭円弥師匠は通夜が何日か遅れた。焼場の都合
だったのだが、きくおは『家族旅行に行ってたんですかね』。木久蔵師匠が亡くなっても旅行を
優先させる積りらしい」「でも、もっと馬鹿なのは、3馬鹿大将のことを“4馬鹿トリオ”と言っていた
小遊三師匠の弟子の春馬君。教会での結婚式に出席して“これが教会葬なんですね”。」
などと枕をふって本題へ。どうやら花魁の側から見た吉原物語らしい。

上州は高崎の在で花魁になりたくて仕方が無い“おくま”。女衒の仙吉に拝み倒して吉原の
女郎“小春”になる。この田舎者の小春のところへ討ち入り直前の大石主税が来るという噺だが、
新作の常でタイトルが分からないので取り敢えずサゲから「小春日和」と名付けておこう。
長いシリーズものの一話なのかも知れない。

初音家左橋「酢豆腐」 先日聴いたばかりの噺だったのだが、これが良かった。まずは
若い衆の一人の源ちゃんが縁側で昼寝をしている場面から始まりのだが、江戸の夏の暑さが
伝わってくるようだ。左橋師匠はこの手の“若い衆”が似合いますな。もっとも若く見えるけど
今年50歳とのこと。私の印象にある中で左橋師匠は今回が一番良かった、というか見直した。

春風亭勢朝「三井の大黒」 左甚五郎物語は何回も聴いてるけど、同じ噺でも人によって
甚五郎のキャラクター設定が違うのが面白い。貫禄十分だったり、奇人だったり。
勢朝師の甚五郎は“クラスや町内に一人はいる変わり者”という印象。
「ご苦労様」「ご苦労様」「ご苦労様」「極道様」「人を鈴々舎馬風みたいに言いやがって」
なんてオリジナルギャグは控えめながら、テンポ良く進み要所で笑わせてくれる快い高座。
「馬鹿みたいな目だからバカ目、おつけの実に」なんて志ん生ギャグが入るのも可笑しい。
ところで名前を名乗らない甚五郎を「ポンシュー」と名付けるのは、他でも聴いた記憶があるけど
主流の演り方なのか、それとも誰かが始めた演出なのかしら。ちょっと唐突な感じだけど。
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by funatoku | 2006-07-03 16:39 | 落語 | Trackback | Comments(0)