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秩父湯元・武甲温泉(埼玉県秩父郡横瀬町)

東京西郊の日帰り温泉は、ここ10年ほどで随分充実してきたが、いずれも車が無いと行き
にくいという弱点がある。「丹波山温泉」「数馬の湯」「小菅の湯」などは路線バスで行けるが、
一日数本しかないので、思いついてぶらりと行くというわけにはいかない。駅から徒歩で行ける
日帰り温泉となるとそう多くはなく、青梅線奥多摩の「もえぎの湯」、以前ここにも書いた中央本線
勝沼ぶどう郷の「天空の湯」、そしてこの西武秩父線横瀬の「武甲温泉」あたりということになろう。
ここに車で行こうとすると意外に面倒で、関越道の花園インターからだと30数キロ、飯能市街からは
国道299号の正丸峠越えで、いずれも1時間位かかってしまい、都内からは3時間コースか。
ところが池袋から西武秩父行き特急レッドアローに乗れば、横瀬まで乗り換え無しで80分程、
駅からは徒歩10分強で着くのである。車より電車をお奨めする所以だ。お酒も飲めるし。

私は雪が降り始めると無性に雪見風呂に入りたくなって、ここに駆けつけたことが何度もある。
雪だと車は使いにくいので、どうしても電車で行けるところに限られてしまうのだ。
ただし、ここは雪など天候の影響で営業時間を短縮するので、電話で確認する必要がある。
「駅から8分」となっているが、もう少しかかる。雪が積もっていればその倍はかかるだろう。
細かく書いているのは、特急停車駅なのに横瀬駅に待合室が無いからである。駅前には時間を
つぶすような店も無い。帰り道は電車の時刻と歩く時間をよく計算しないと、早く着き過ぎても
吹きさらしの駅で待たされる羽目になるし、乗り遅れたら30分以上次の電車は来ない。
また駅からの道に街灯が無い部分もあるので、初めての方や女性の方が夜間訪れる場合は
徒歩は避けた方が良い。駅前にタクシーが待っているとは限らないのではあるが。

温泉そのものの紹介が後になってしまった。湯はほのかに硫黄が香っている。
露天風呂がゆったりと広いのが特長と言える。あずまやになっていて屋根がついており、
雨が降っても快適だ。ただし谷間にあるので眺望はきかない。旅館のような大広間や食堂も
あるので、家族で来ても良さそう。更衣室にはベランダが続いており、風呂上がりにここで
缶ビールを飲むのは至福の時間である。ただし、昨晩など既に結構涼しかったけど…。
*  *
お読み頂きまして有難うございます。25日午後にご来場者が7000人に達しました。
ただ不思議なのは、このところ一日十数人いらっしゃるというペースだったのに、投稿が止まって
いた今月8日に133人を記録したこと。今までの最高が四十数人だったのであっさり更新。
その後、私が記事を書き始めると一日平均一桁になり、「私が書くと人が減る」というジンクスが
証明されてしまいました。いいもん、もうなるべく書かないから(笑)。
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by funatoku | 2005-11-26 19:40 | 旅日記・温泉・鉄道 | Trackback | Comments(0)

林家たい平独演会(11/2 紀伊国屋ホール)

林家たい平「七段目」 先日TBSの「落語研究会」で「たらちね」を演ったら、嫁が来る前に
つい「鴉カアで夜が明けた」とやってしまい、何とか取り繕おうとしたが、思い浮かばないので
結局2回「鴉カアで…」とやる羽目になってしまった。
かつて柳家小さんが「落語研究会」で「時そば」を演ったら、騙す筈の男が「今、何どきだ?」
「四つです」「4、5、6…」とちゃんと払ってしまった。気がついた小さん師匠、「払っちゃった
ものは仕方ねえ」と、百面相などサービスして舞台を下りた…。
「よく噺家が高座で“名前だけでも覚えてください”と言うが、名前が一番難しいんです」
「大喜利で円楽師匠に指名されたのに、“ええと、誰だっけ?”」
最近ようやく覚えて貰ったと思ったら、「せっかく繋がったシナプスが…」
熊本県警に講演会で呼ばれたら、空港にパトカーが出迎えが来ている。会場に着いたので
降りようとしたが、駐車場まで乗せられてしまった。「そこに停められるんじゃないですか?」
「車は9(駐車スペースの番号)に停まれない」。同乗の署長が振り向いて「どうですか?」
帰り道、パトカーが阿蘇を回るという。山の中の道路で警官「この道に私が作った標語が
あるんです」。見ると、「ここで事故を起こすと救急車は一時間来ません」
などと快調に笑わせておいて、9代目林家正蔵の若旦那ぶり。生きた伊勢海老を貰ったら、
可哀想だから飼おうと言い出した。前座のたい平がバケツに海水を入れて海老を入れると、
そこにおかみさん(海老名香葉子)が、「ふえるわかめ」を大量に入れた。帰ってきたら
膨らんだわかめがバケツの蓋を押し上げて、海老はその中でグッタリしていた…。

「七段目」は出番の短い時でも爆笑させるたい平師の十八番。歌舞伎狂いの若旦那の噺。
「市川団十郎の真似は指を一本咽喉の奥に…」「中村福助は志村けんの真似で…」
「歌舞伎揚がモンドセレクションで入賞しないかと…」「番頭八十助、妹のサト」
などオリジナルのギャグも交えてテンポ良く進んだ。

林家たい平「幾代餅」 この日は2席とも登場前にBGM付でスライドが流れる。
「たい平・心の印画紙 東京慕情」と題されていて、自分で撮った写真らしい。
この日は文化庁芸術祭参加ということで、普段と違った趣向なのだろう。
夜景の写真などは暗いので見難いなと思ったら、すべてASA100で撮ったのだそうだ。
なるほどそれなら、夜景はブレるはずだ。「ASA100が肉眼に一番近いように思うんです」

花魁の幾代太夫に惚れた搗米屋の職人清蔵、一年間必死で金を貯めて、幾代に会いにゆく。
その心に打たれた幾代と年季明けに、夫婦になり餅屋を開くという噺。
「笑点を見てから出かける…」「お店の皆さん、行ってきます」「来年の3月っていうのは、
来年の何月なんですか?」などのギャグも入るが、基本的には笑いの少ない噺であり、
たい平師も笑いを取るというより、人情話としてきれいにまとめ上げたという印象。
芸術祭向けに廓噺の大ネタを持ってきたのかも知れないが、何となく慣れない裃を着たようでもあり、
笑いの多い噺を2席並べた方が、今のたい平師らしさが出た気もするんだけどなあ…。
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by funatoku | 2005-11-15 23:30 | 落語 | Trackback | Comments(0)

第48回所沢寄席 柳家小三治独演会(10/15 所沢:ミューズ・マーキーホール)

柳亭こみち「一目上がり」

柳家小三治「あくび指南」 「ガソリンも120円になっちゃうし…」などと時事ネタから入るが、
「TBSを楽天が…、村上ファンド?新聞に書いてあることがわからねえんだ」
昔は78回転だったが、LPになって今やCDの時代。「LPを3000枚も持ってるのに」
テレビもデジタル化されるが、「放っておけば向こうから何か言ってきますよ」

近所に出来た「あくび指南所」であくびを習おうとする男と、それに付き合わされる男。
設定自体が荒唐無稽なのだが、小三治師が演じると何気ない台詞が妙に可笑しい。
「(下手なかっぽれに)人の命を脅かすのは」
「お連れさん?」「濡れ衣です」
「第一あくびの稽古に台詞があるとは…」
サゲは通常通り「お連れさんの方がご器用でいらっしゃる」

柳家三三「引越しの夢」 連れにこの名前は何と読むのかと訊かれ、マクラで自己紹介する
からと答えたのだが、「横棒がいっぱい並んでる…」「さんざっ!と呼ぶよりミミちゃんと…」
などという、いつものマクラ無しで本題へ入る。円生百席に入っているようだが、私は初見。
手元の落語事典を読むと、登場人物などにいくつかバリエーションがあるようだが、三三版では、
本によっては海千山千という設定になっている女中そのものはほとんど描かれず、
夜這いをかけようとする番頭を主体に描いている。店を仕切っているのは主人ではなく女将。
この番頭、現代から見ればとんだセクハラ野郎なのだが、三三さんはコミカルな面を抽出して
演じているので、恐らく女性にも嫌らしさを感じさせないだろう。このバランスは絶妙と言って良い。
夜這いをしようとした挙句、鼠入らずを担ぐ羽目になってしまうというサゲの状況は、
当時の商家の造りが分かっていないと客の頭に絵が浮かばないので、損な噺だと思うが、
さすがに今一番ノっている三三さんだけに、説明を混ぜながらも話術だけで爆笑させた感じ。

柳家小三治「うどん屋」 「他人の商売というのは呑気そうに見える…」「屑屋は小さな声で
呼ばれる方が儲かる」などとマクラを振り、蕎麦屋とうどん屋の呼び声を演じてみせる。

屋台のうどん屋が酔っ払いに絡まれたり、「子供が寝てるので静かにしろ」と言われたり、
ツイテない晩で、ようやく商家から出てきた小声の客に、これは仲間を連れてくるかと期待
して小声で応対していたら、「うどん屋さんも風邪ひいたのかい」
この噺を十八番にしていた、柳家小さんバージョンを聴いた記憶は無いのに、小三治師の
うどん屋を聴いていると、小さん師の語り口が浮かんできてしまった。
師匠だから影響を受けているのは確かだろうが、この噺自体が小さん師のキャラクターに
嵌まり過ぎていて、新しい「うどん屋」を作り上げるのはなかなか大変だろうなと思う。

この日の2席は今年66歳の小三治師らしさが出た高座だったのではないだろうか。
10年後には「あくび指南」は様式美のようになってしまうかも知れないし、10年前に「うどん屋」の
この枯れた面白さが果して出ていただろうか。そういう意味で今の小三治師が見られたという
満足度が高かったのである。
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by funatoku | 2005-11-12 14:15 | 落語 | Trackback | Comments(0)