リー・リトナー(g)
アーニー・ワッツ(ts) パトリース・ラッシェン(p、key) エイブラハム・ラボリエル(b) アレックス・アクーニャ(ds) 先月のデイブ・グルーシンを聴いたら、私のもう一人のフェイバリット・ミュージシャンである リー・リトナーを聴かないと気持ちの収まりがつかなくなった。しかも、メンバーは伝説のグループ “ジェントル・ソウツ”の面々である。齢50を過ぎてすっかり大御所の風情が漂うリトナーが、 昔の仲間を迎え、ギター小僧だった70年代に戻れるかどうかが今回の聴きどころだろう。 ただ、ジェントル・ソウツは固定メンバーというより、当時のフュージョン・スターの集合体であり、 1作ごとにメンバーが入れ替わっていた。このメンバーでレコーディングしたことはあったっけな? 1 LIL' BUMPIN' 2 BOSS CITY 3 RIO FUNK 4 P.A.L.S. 5 ETUDE 6 CAPTAIN CARIBE 7 CAPTAIN FINGERS 初めて見るリトナーはフル・アコースティックのギターを持って登場。青の長袖シャツに、Gパン。 ちょっと太ったけど、顔も雰囲気も余り若い頃と変わらない。デビュー当時はまだ学生だった ラッシェンはすっかり貫禄がついた。白地に音符の入ったブラウス。ラボリエルの髪はすっかり 真っ白になったが、あとの二人はもともとオッサン臭かったので、見た目は余り変わらないかも。 舞台左側にピアノ、右奥にドラム、ドラムの前にベース、中央左にギター、右にサックスという並び。 1 ソロはギター、キーボード、ベースの順。リトナーはピックを使ったり、素手で弾いたり、 曲中で細かく使い分けている。キーボードはヤマハのシンセサイザーを、エレクトリック・ ピアノの音に設定しているようで、フェンダー・ローズ風の音も懐かしい。 2 ソロはギター、サックス、ピアノ。ラッシェンのピアノ伴奏は、上手いし、的確だし、 もっとスターになってもよかった人だと思うが、ちょっと優等生的なのかなあ。 3 ソロはギター、キーボード、サックス。ワッツのソロの中に、旧作「ブレット・トレイン」のメロディが 現われたりするので、長年のファンとしては嬉しくなる。あの曲を吹いていたのもワッツだったな。 4 赤いセミ・アコースティックギターに持ち替える。ドラムソロから始まるリトナー節続出の曲。 アクーニャは上手いが割と大雑把な、文字通り“ラテン系”のドラマーで、先月ここで見た ハーヴィー・メイソンとは対照的。ウェザー・リポート時代の来日公演で、ハイ・ハットで16ビートを 刻んでいたら裏返ってしまったなんていう伝説もある。別に叩けないわけではない…、はずだ。 細かいことには拘らない、陽気な芸風なのである。 5 ヤマハのサイレント・ギターなるものを持ち出す。新作のライブDVD「OVERTIME」でも これを弾いていた。ライブで音の調整が難しいアコースティック・ギターの代わりということか。 アクーニャは箱型のパーカッションの上に座って、ボンゴのように叩いている。 原曲はアコースティック・ギターの小曲だったが、すっかりラテン風になっている。 ソロはギター、ベース、パーカッション、マラカス(ラッシェン)、ピアノの順。 エイブおじさんのベース・ソロ。でっかい掌で弦を叩きまくるチョッパーが実に格好いいな。 6 ラッシェンのやけに賑やかなソロピアノから始まって、何の曲かと思いきや…、 キター!70年代フュージョンを代表する名曲である。再びセミ・アコに持ち替えたリトナーは、 ロック風のフレーズや、チャカポコしたリズム・カッティングなど、最近すっかりご無沙汰していた “リトナー節”を連発。泣かせるねえ。最初に聴いてから、もう30年近いんだなあ…(遠い目)。 アンコールのMCで(勿論英語)「みんな、帰りの電車は大丈夫かい」 「セカンドアルバムの曲です。あの頃、僕らは若くて、(手振りで)こんなに小さかった(笑)」 7 これも初期の名演奏。ギター、サックス、ピアノが一糸乱れぬユニゾンで早弾きするサビに、 当時のバンド少年達は驚喜したものだ。楽器をやらない人には、ユニゾンの難しさが なかなか伝わりにくいようなのだが、彼らの超絶的テクニシャンぶりがよくわかる曲。 ところがサックスソロに入ったところで、ギターアンプの音が切れるというアクシデント。 リトナーは楽器係(?)のマネージャーの姿を探すが、さっきまで脇にいたオッサンがこういう 時に限っていない。ようやくオッサンが戻ってきたが、その前に幸い音は戻ったようで、 ソロはギター&ドラム、キーボードと進んだ。アンコールはこの1曲のみだった。 懐かしくも満足な一日。どうせなら「シュガーローフ・エクスプレス」も聴きたかったな。
by funatoku
| 2005-06-22 02:56
| ジャズ・クラシック
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Comments(2)
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hiroshimono
at 2005-06-22 09:32
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こんにちは、funatokuさん。
リトナーの公演も見てこられたんですね。まことに羨ましい。。 今回の彼のツアーは大阪には来てくれなかったので、 funatokuさんのライブリポートにより、見てきた気分を 味わっております。 ベースは、アンソニー・ジャクソンでなくエイブでしたか。 また、飛び跳ねてたんでしょうね、きっと(笑)。 DVDでは、キャプテン・フィンガーズは少しテンポダウンした感じ でしたが、ライブではスピード感ありましたか? P.ラッシェン参加なら、おっしゃるとおりシュガーローフ~もほしいですね。 こういう話を聴くと、久々に楽器を触りたくなってきました。
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funatoku at 2005-06-22 21:41
こんにちは。エイブはとび跳ねてましたよ、あの巨体で(笑)。
DVDの「キャプテン・フィンガーズ」は、確かにかつての疾走感に乏しい気がしますね。 今回は、ライブで見たせいか、テンポの遅さはそれほど気になりませんでした。 ただ、ユニゾン部分のスピード感より、各人のアドリブを重視した演奏だったかも知れません。 あと、あのDVDは各楽器の音のバランスが余り良くない気がします。 (今、DVDを見てしまうと記憶が上書保存されそうなので、見てませんが…) 「シュガーローフ~」のラッシェンは正に才気煥発の名演奏でしたよね。 このアクーニャ、ラボリエルのリズム隊で聴いてみたかったです。 hiroshimonoさんにお薦め頂いた「恋におちて」DVDを買いました(¥1575)。 これから楽しみに見たいと思います。有難うございました。
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