三笑亭春夢「熊の皮」 三笑亭夢丸門下の前座さん。「熊の皮」は元々バレ噺だったのだが、
「尻に敷く…、そうそう女房が宜しくと言ってました」というサゲ。私は生で聴くのは初めてかも。 この男は“甚兵衛さん”という設定だが、どちらかというと“重症の与太郎”という演じ方だった。 桂歌々志「貧乏花見」 今朝、新大阪から新幹線に乗ったら、隣席のオバハンがずっと、 鼻糞をほじっていて、しかも“ほじったもの”をちり紙の上に並べている。 「何故こういう話をしているかと言いますと、朝から私一人が不快なので、皆さんにも…(笑)」 先輩落語家・桂喜丸の葬儀の時、遅れて会場に入って慌てて焼香したら、実はまだ焼香は 始まっておらず、家族よりも先に焼香してしまったことが分かった…。 私は今回初めて聴いたのだが、歌々志さんのマクラは、日常の面白い出来事をピックアップして、 ラジオのパーソナリティ風に喋るというスタイルのようだ。 東京では「長屋の花見」と題することが多い噺だが、家主ではなく長屋の中に仕切る男がいて、 花見に誘い出すところが一番の違い。花見に行く動機としてはちょっと弱いかな。 東京落語では貧乏の描き方もサラッとしているが、上方だとさらに一押しあるのがよく分かる。 終わりまでは演らずに、「茶柱が立った」というところでサゲ。 三増れ紋(曲独楽) 回す度に「やった」と喜ぶ三増紋之助さんの曲独楽を、かつて寄席で 何回か見ているが、れ紋さんは妹弟子に当たるらしい。失敗しそうになって「ギャーッ」と叫ぶ のにはこちらが驚いた。舞台袖に向かって「太鼓うるさい!」と怒鳴ったり、客をいじったり、 喋りは兄弟子以上に達者だと思ったら、故・内海好江門下で漫才をやっていたのだそうだ。 桂歌々志「はてなの茶碗」 清水寺の茶店で、骨董の目利き・茶屋金兵衛が茶碗を持って 首を捻っているのを見た油屋、これを茶店からなけなしの2両で買い、金兵衛のところに 売りに行く。しかし、金兵衛は水が漏るから首を捻ったのであり、安物の茶碗に過ぎない。 がっかりする油屋から3両で買い取ったが、この話が公家や天皇の耳に入り、箱書きがつくと 鴻池家が何と千両で買いたいと言ってくる。金兵衛は半額の五百両を油屋に渡すが、 しばらくして「大金になる」と油屋が持って来たのは、水の漏る水瓶だった…。 上方発祥の噺で、アクの強い油屋のキャラクターはいかにも上方風。「千両で売れた」という 金兵衛に、「そういう奴か」と怒り出したりするところとか。 桂歌々志さんは昭和46年生まれ、平成9年に桂米朝師の弟子である故・桂歌之助師匠に入門 というからキャリアは8年ほどだが、同年代の東京の落語家と比べると、達者という印象を受けた。 あれだけマクラを面白くできるのだから、本編でもっとオリジナルのギャグを入れれば、 歌々志さんらしさが出そうだと感じたが、敢えて“古典の型”に拘っているのかも知れない。 というところで、終わっても良いのだが、実は終演後、打ち上げにも参加させて頂いたのである。 歌々志さんは大阪の出身だが、千葉大学建築科の卒業生で、落研のOB。私は落研OBの 重鎮であるらしいPさんにお誘い頂いたのである。しかし、皆さんから「Pさんのヲタ仲間」 「2ちゃんねるの人」などと呼ばれてしまう。確かにPさんとは某巨大掲示板で知り合ったのだが、 ワシゃ“ひろゆき”じゃないっての(笑)。まあ、お互い“メロン記念日オタク”にゃ違いないけどさ。 歌々志さんにもご挨拶する。上方落語協会の桂三枝会長が、大阪でも真打制度導入を 進めている件について伺うと、「私らが一番困るんですわ」。(オフレコだったか…) キャリアで言えば、歌々志さんは“二つ目”ということになるのだろうが、大阪では寄席定席が 無い分、他流試合で鍛えられてきているわけで、今さらという違和感があるのかも知れない。 「落研出身であることは、プロではかえって邪魔にならなかった?」とPさん。 「落研で教わった所作などはプロでも役に立ちました。全く違う部分もありますが」 それを詳しく聞きたかったが、この日の主役をいつまでも独占している訳にもいかない。 また機会があれば伺いたいものだ。マクラと同じ調子、気さくな感じで喋る人だ。 Pさんは三増れ紋さんを気に入ったのか、いきなり「若いようにも、凄いトシにも見えますね」 などと話しかけて、「こんな眼鏡に言われたくな~い」などと返されている。 れ紋さん、昔から曲独楽に関心があったという訳ではなく、“手に職をつけたかった”のだそうだ。 「曲独楽をやる上でどんな適性が必要か」と問うと、「特にない」とのお返事。 美人の弟子入り志願者が来たらどうしますか?との問いには、「潰す」(笑)。 「やはり、失敗は2回までとか計算するんですか」には、「本気で3回やって失敗した芸は、 その日は止めておきます。でも自分でもどれが本気なんだか…(笑)」 Pさんは、れ紋さんに得意のメロン記念日の話をしたら、「このロリコン」と罵られた、と嬉しそう。 いや、メロン記念日は平均年齢22、3歳なんですが…。 れ紋さんのキャラクターはなかなか印象深くて、今日はれ紋記念日…、お後が宜しい様で。
by funatoku
| 2005-06-02 00:38
| 落語
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Comments(2)
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pecking
at 2005-06-02 21:07
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御来場誠に有難う御座いました…って私が言うことではありませんが。
毎年OB会化してしまう打ち上げに付き合わせてしまって、 ひょっとしたら居心地が悪かったかな?などと気にしていました。 私も酔ってしまって、本当は歌々志くんと話してもらいたかったのに、 れ紋さんとの話ばかりで… 歌々志くんは、内輪の話をなんでもしてくれるので、飲みながら話すと なかなか興味深いことが聞けます。 時間がなくて残念でしたね。三次会ではハロプロ話だったし(笑。 懲りていなければ、次回もお願いします。 もちろん、打ち上げも含めて(笑。
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funatoku at 2005-06-02 22:36
こちらこそ、色々ご配慮頂きまして、有難うございます。
お名前だけは存じ上げていた方が何人もいらしたし(笑)、楽しく過ごさせて頂きました。 次回は年度末なんですね。是非また伺いたいと思います。 でも、機会があったら、歌々志さんを囲んで少人数で、飲んでお話ししたいものです。
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