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桂歌々志「桂歌々志上京 vol.7」(5/29 お江戸日本橋亭)

三笑亭春夢「熊の皮」 三笑亭夢丸門下の前座さん。「熊の皮」は元々バレ噺だったのだが、
「尻に敷く…、そうそう女房が宜しくと言ってました」というサゲ。私は生で聴くのは初めてかも。
この男は“甚兵衛さん”という設定だが、どちらかというと“重症の与太郎”という演じ方だった。

桂歌々志「貧乏花見」 今朝、新大阪から新幹線に乗ったら、隣席のオバハンがずっと、
鼻糞をほじっていて、しかも“ほじったもの”をちり紙の上に並べている。
「何故こういう話をしているかと言いますと、朝から私一人が不快なので、皆さんにも…(笑)」
先輩落語家・桂喜丸の葬儀の時、遅れて会場に入って慌てて焼香したら、実はまだ焼香は
始まっておらず、家族よりも先に焼香してしまったことが分かった…。
私は今回初めて聴いたのだが、歌々志さんのマクラは、日常の面白い出来事をピックアップして、
ラジオのパーソナリティ風に喋るというスタイルのようだ。

東京では「長屋の花見」と題することが多い噺だが、家主ではなく長屋の中に仕切る男がいて、
花見に誘い出すところが一番の違い。花見に行く動機としてはちょっと弱いかな。
東京落語では貧乏の描き方もサラッとしているが、上方だとさらに一押しあるのがよく分かる。
終わりまでは演らずに、「茶柱が立った」というところでサゲ。

三増れ紋(曲独楽) 回す度に「やった」と喜ぶ三増紋之助さんの曲独楽を、かつて寄席で
何回か見ているが、れ紋さんは妹弟子に当たるらしい。失敗しそうになって「ギャーッ」と叫ぶ
のにはこちらが驚いた。舞台袖に向かって「太鼓うるさい!」と怒鳴ったり、客をいじったり、
喋りは兄弟子以上に達者だと思ったら、故・内海好江門下で漫才をやっていたのだそうだ。

桂歌々志「はてなの茶碗」 清水寺の茶店で、骨董の目利き・茶屋金兵衛が茶碗を持って
首を捻っているのを見た油屋、これを茶店からなけなしの2両で買い、金兵衛のところに
売りに行く。しかし、金兵衛は水が漏るから首を捻ったのであり、安物の茶碗に過ぎない。
がっかりする油屋から3両で買い取ったが、この話が公家や天皇の耳に入り、箱書きがつくと
鴻池家が何と千両で買いたいと言ってくる。金兵衛は半額の五百両を油屋に渡すが、
しばらくして「大金になる」と油屋が持って来たのは、水の漏る水瓶だった…。
上方発祥の噺で、アクの強い油屋のキャラクターはいかにも上方風。「千両で売れた」という
金兵衛に、「そういう奴か」と怒り出したりするところとか。

桂歌々志さんは昭和46年生まれ、平成9年に桂米朝師の弟子である故・桂歌之助師匠に入門
というからキャリアは8年ほどだが、同年代の東京の落語家と比べると、達者という印象を受けた。
あれだけマクラを面白くできるのだから、本編でもっとオリジナルのギャグを入れれば、
歌々志さんらしさが出そうだと感じたが、敢えて“古典の型”に拘っているのかも知れない。
桂歌々志「桂歌々志上京 vol.7」(5/29 お江戸日本橋亭)_b0058309_2472240.jpg

というところで、終わっても良いのだが、実は終演後、打ち上げにも参加させて頂いたのである。
歌々志さんは大阪の出身だが、千葉大学建築科の卒業生で、落研のOB。私は落研OBの
重鎮であるらしいPさんにお誘い頂いたのである。しかし、皆さんから「Pさんのヲタ仲間」
「2ちゃんねるの人」などと呼ばれてしまう。確かにPさんとは某巨大掲示板で知り合ったのだが、
ワシゃ“ひろゆき”じゃないっての(笑)。まあ、お互い“メロン記念日オタク”にゃ違いないけどさ。

歌々志さんにもご挨拶する。上方落語協会の桂三枝会長が、大阪でも真打制度導入を
進めている件について伺うと、「私らが一番困るんですわ」。(オフレコだったか…)
キャリアで言えば、歌々志さんは“二つ目”ということになるのだろうが、大阪では寄席定席が
無い分、他流試合で鍛えられてきているわけで、今さらという違和感があるのかも知れない。
「落研出身であることは、プロではかえって邪魔にならなかった?」とPさん。
「落研で教わった所作などはプロでも役に立ちました。全く違う部分もありますが」
それを詳しく聞きたかったが、この日の主役をいつまでも独占している訳にもいかない。
また機会があれば伺いたいものだ。マクラと同じ調子、気さくな感じで喋る人だ。

Pさんは三増れ紋さんを気に入ったのか、いきなり「若いようにも、凄いトシにも見えますね」
などと話しかけて、「こんな眼鏡に言われたくな~い」などと返されている。
れ紋さん、昔から曲独楽に関心があったという訳ではなく、“手に職をつけたかった”のだそうだ。
「曲独楽をやる上でどんな適性が必要か」と問うと、「特にない」とのお返事。
美人の弟子入り志願者が来たらどうしますか?との問いには、「潰す」(笑)。
「やはり、失敗は2回までとか計算するんですか」には、「本気で3回やって失敗した芸は、
その日は止めておきます。でも自分でもどれが本気なんだか…(笑)」
Pさんは、れ紋さんに得意のメロン記念日の話をしたら、「このロリコン」と罵られた、と嬉しそう。
いや、メロン記念日は平均年齢22、3歳なんですが…。
れ紋さんのキャラクターはなかなか印象深くて、今日はれ紋記念日…、お後が宜しい様で。
by funatoku | 2005-06-02 00:38 | 落語 | Trackback | Comments(2)
Commented by pecking at 2005-06-02 21:07 x
御来場誠に有難う御座いました…って私が言うことではありませんが。
毎年OB会化してしまう打ち上げに付き合わせてしまって、
ひょっとしたら居心地が悪かったかな?などと気にしていました。
私も酔ってしまって、本当は歌々志くんと話してもらいたかったのに、
れ紋さんとの話ばかりで…
歌々志くんは、内輪の話をなんでもしてくれるので、飲みながら話すと
なかなか興味深いことが聞けます。
時間がなくて残念でしたね。三次会ではハロプロ話だったし(笑。
懲りていなければ、次回もお願いします。
もちろん、打ち上げも含めて(笑。
Commented by funatoku at 2005-06-02 22:36
こちらこそ、色々ご配慮頂きまして、有難うございます。
お名前だけは存じ上げていた方が何人もいらしたし(笑)、楽しく過ごさせて頂きました。
次回は年度末なんですね。是非また伺いたいと思います。
でも、機会があったら、歌々志さんを囲んで少人数で、飲んでお話ししたいものです。


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